C. 海膨(かいぼう、Rise)

全体として、海底から緩やかに盛り上がる幅の広い高まり地形。大規模なものは中央海嶺に相当する。



C1. オーリピック海膨 (図I,図II)

中部太平洋パプアニューギニア沖から、300kmの幅で北に800km張り出す。海膨は西カロリン海盆と東カロリン海盆を仕切る。水深4,000mの両海盆から1,500-2,000mほどの高まり。海膨の北縁には、オーリピック環礁(カロリン海山群に属する小海嶺の一部)がある。[G5.06]



C2. ガラパゴス海膨 (図I)

ペルー沖の9°-17°Sにひろがる。全体としては、水深4,000m以浅の地形であるが、海膨の中央には中軸谷(とくに北部で顕著)が認められる。海膨の東側は水深4,000-5,000mのペルー海盆である。ダナ断裂帯、バウァ断裂帯が海膨を胴切る。現在は活動していない古い時代の拡大軸をもつ海膨である。[G5.11]



C3. シャツキー海膨 (図I,図II)

北西太平洋海膨ともいう。北西太平洋海盆のほぼ中央にあり、全長約1,400km、幅300-500kmである。水深6,000mの海盆から緩やかに水深4,000mほどに盛り上がる。ほぼ南北に並ぶ3つのブロックからなる。なお、海膨北東部には比高1,000-1,500mからなる小規模な海山群がみられる。海膨は前期白亜紀(120Ma)の火山活動によって形成された。玄武岩溶岩の規模は2,000万km3と見積もられている。[G5.06]



C4. ソロモン海膨 (図I,図II)

南太平洋ソロモン諸島の北方に広がる高まり。サンゴ礁地帯を除けば、水深2,000m-4,000m、幅940km。海膨の中心線で長さ1,300km。南部の台地状の地形はオントンジャワ海台と呼ばれる。[G5.06、5.10]



C5. チャタム海膨 (図I)

ニュージーランド南島中央部沖から東方へ1,500km伸びる海底山脈。幅400kmを越すところもある。頂部の大部分は水深1,000m以浅である。海膨の東寄りにチャタム諸島がある。[G5.10、5.14]



C6. チリ海膨 (図I)

チリ南部アメナス湾沖から北西に1,800kmのびる。非常にゆったりとした高まり。北に幅広になる。4,000m等深線でみる最も幅広いところで970km。海膨はいくつもの東西性の断裂帯で断ち切られ、頂部は西側に順次シフトしていく。46°S付近で、チリ海溝に対して斜交するように第四紀のナスカプレートが沈み込んでいる。沈み込む速度は6cm/年程度である。[G5.11]



C7. 日本(にほん)海膨 (図III-1)

日本海溝の海側斜面から北西太平洋海盆への移行部にみられる海溝周縁隆起帯に相当する。海溝寄りには見事な地溝を示す狭長な凹地が幾筋もある。凹地の比深は数10-数100mで、長さは数10kmに達するものがある。[G5.06]



C8. ヘス海膨 (図I,図II)

北太平洋の天皇海山列の東、33°-42°Nに分布。地形は錨型をしており5,000m等深線で表される。南部に浅く水深2,000m前後の海山が海膨の上にのっている。基盤の玄武岩を覆う最古の堆積物は白亜紀前期後半の時代を示す。[G5.06]



C9. マゼラン海膨 (図I)

ハワイ諸島の南西、7°N、177°Wに中心があるほぼ紡錘形に近い小規模の高まりで中部太平洋海盆内にある。大部分が水深3,500-5,000m。基盤の年代は白亜紀前期(135Ma)である。[G5.07]



C10. 南タスマン海膨 (図I)

大洋州タスマニアの南、45°-51°に広がる。水深500-4,000m。[G5.10、5.14]



C11. ロードハウ海膨 (図I)

オーストラリア東方、幅420kmほどで、20°-40°Sに広がる広大な高まり。水深は大部分が1,000-3,000mであるが、北部にフェアウエイ礁がある。[G5.10]