Z. 断裂帯(だんれつたい、Fracture Zone)

急峻な斜面または非対称断面を有する海底崖、舟状海盆、海嶺などの海底地形が、非常に長い距離にわたって直線状に連なる地帯。



Z1. エレターニン断裂帯系 (図I)

中央海嶺である東太平洋海膨と太平洋・南極海嶺を境する大規模な断裂帯で、いくつもの断裂帯が集中している。ここには中央海嶺の研究に大きな功績のあった科学者の名を冠したフィーゼン断裂帯とサーブ断裂帯がある。この断裂帯系を境に、太平洋・南極海嶺の中軸は、東太平洋海膨のそれに対して西に1,000kmほども移動している。太平洋・南極海嶺は、南東インド洋海嶺、南西インド洋海嶺を経て大西洋を2分する中央大西洋海嶺へとつながる。[G5.00]



Z2. ガラパゴス断裂帯 (図I)

120°Wの赤道付近からライン諸島沖151°W付近までの全長3,600kmの断層帯。水深4,500-6,000m、西部に深い。[G5.07、5.11]



Z3. クラリオン断裂帯 (図I)

レビヤヒヘド諸島(メキシコ西岸沖)からライン諸島北部に達する全長5,500kmの右ずれ断層帯。溝の水深は4,000-6,000m、東部に浅い。東端に近いところにクラリオン島がある。[G5.07]



Z4. クリッパートン断裂帯 (図I)

10°Nの東太平洋海膨中軸部からライン諸島のクリスマス島沖まで達する全長5,000kmの右ずれ断層。断層に沿って尾根、溝地形があることは、他の断裂帯と同じ。溝の水深は4,000-5,500mで、東部に浅い。東部には雁行する海嶺があり、環礁も存在する。東太平洋海膨寄りにクリッパートン島がある。[G5.07]



Z5. セントラル断裂帯 (図II,図V-1)

フィリピン海のほぼ中央部のゆったりとした高まりの中にある長さ800kmの北西-南東方向の溝地形。最深部はほぼ中央の7,170mで、そこでの比深は2,600mを超える。背弧海盆を示す玄武岩が得られている。古第三紀の年代を示すフィリピン海盆の拡大の中軸部にあたる。セントラルベーズン・フォルトとも呼ばれている。[G5.06]



Z6. パイオニア断裂帯 (図I)

メンドシノ断裂帯の南170-280kmにあり、長さは4,200kmで、西端は170°W付近。左ずれの断裂帯に沿って1,000m級の細長い尾根や溝地形が並び、水深5,500-6,000mの溝が断続的に東西に連なる。[G5.07]



Z7. ブランコ断裂帯 (図I)

北米西海岸ブランコ岬沖で、ゴルダ海嶺とファンデフーカ海嶺をつなぐ左ずれトランスフォーム断層。長さ360km。溝の水深は3,000m-3,200m。[G5.07]



Z8. マレー断裂帯 (図I)

北米西海岸コンセプション岬沖の125°W付近からハワイ諸島北方162°W付近までの全長3,600kmの右ずれ断層帯。断層の西半分では水深6,000mを超す深みが断続的に連なる。深みのなかに、さらに多数の小海嶺や小窪地がある。[G5.07]



Z9. メンドシノ断裂帯 (図I)

北米西岸のメンドシノ岬沖から、4,500kmにわたって北西ハワイ海嶺付近まで伸びる左ずれの断層帯。断層帯に沿って、海嶺やその麓には舟状海盆が連なる。151°W付近までは断層の北側で1,000mほど浅い。溝の水深は西部で深く、6,000mを越す。海嶺からは玄武岩の礫が多産し、海面上にでていた時代もあった。[G5.07]



Z10. モロカイ断裂帯 (図I)

北米カリフォルニア半島セドロス島沖からハワイ諸島モロカイ島沖まで、全長3,900kmにわたる左ずれの断層帯。メンドシノ断裂帯やパイオニア断裂帯とほぼ平行しており、同性質の断層。[G5.07]